小林エリカ『光の子ども1』(2013)、『マダム・キュリーと朝食を』(2014)

小林エリカ氏の作品を二作続けて読む。一つは漫画『光の子ども1』(リトルモア、2013年)。もう一つは小説『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、2014年)。いずれも、科学と歴史と文芸とが、幸福な出会いをした稀有なる作品である。両作は登場するキャラ…

【新刊】現代詩手帖特集版『シモーヌ・ヴェイユ――詩をもつこと』(思潮社、2011年12月)

現代詩手帖特集版『シモーヌ・ヴェイユ――詩をもつこと』(今村純子責任編集、思潮社)が刊行されました。私も執筆と編集を分担しました。(定価1800円+税、ISBN978-4-7837-1868-0 C0098 E1800E 2011年12月25日発行) 辻井喬、今福龍太、港千尋、最首悟、川…

地質学史懇話会会報 第36号

『地質学史懇話会会報』第36号が刊行されたとの案内をいただきましたので、以下に掲載します。拙稿「石の詩学・序説―鉱物文化論のために」も掲載されています。 地質学史懇話会会報 第36号 2011年5月30日発行目 次地質学史懇話会のお知らせ・・・・・・・・…

芥川賞受賞作を読む

きことわ作者: 朝吹真理子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/01/26メディア: ハードカバー購入: 8人 クリック: 85回この商品を含むブログ (85件) を見る 技術は高い。「意識の流れ」的な手法による時間処理の仕方も面白い。だが、決定的に物語内容が希薄…

クンツ『宝石と鉱物の文化誌』

図説宝石と鉱物の文化誌作者: ジョージ・フレデリック・クンツ,鏡リュウジ出版社/メーカー: 原書房発売日: 2011/01/25メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る ティファニー社の顧問的立場であった鉱物学者クンツによる鉱物の文化…

要購入

量子重力理論とはなにか ― 二重相対論からかいま見る究極の時空理論 ブル−バックス 竹内薫 / 講談社 2010/03 ¥861 (税込)重力の再発見 ― アインシュタインの相対論を超えて ジョン・W.モファット/水谷淳 / 早川書房 2009/11 ¥2,520 (税込)重力の物理学…

メモ・要購入

・向井周太郎『デザイン学』武蔵野美術大学出版局

もうすぐ出る本 要購入

・大橋完太郎『ディドロの唯物論 群れと変容の哲学』、法政大学出版局、2/16 6,825円

要チェック和書

・ポプラ社『百年文庫 肌』 ・内澤旬子『身体のいいなり』朝日新聞出版 ・『名門大学の「教養」』主婦と生活社 ・津野海太郎『電子本をバカにするなかれ』国書刊行会 ・萩野正昭『電子書籍奮戦記』新潮社 ・川上弘美『機嫌のいい犬』集英社 ・今柊二『定食と…

要入手

・『思想』2008年 第4号 No.1008 サド/フーリエの問題圏(定価1600円) ・『思想』2009年 第11号 No.1027 ジャン=ジャック・ルソー問題の現在(定価2000円) ・ 国書刊行会 ゴシック叢書 28 『もうひとつの肌』 Second Skin ジョン・ホークス(John Hawkes) …

ノヴァーリス『夜の讃歌』読書ノート

Novalis, Hymnen an die Nacht, 1800 沖積舎全集版「きらめき永遠に休らう岩石」143 「暗い夜よ。おまえもまたわたしたちに好意を寄せてくれるのか」144 「あのきらめく星々より、夜がわたしたちの裡に開いてくれた無窮の目の方が、より天に近いものに思われ…

小潟昭夫先生の思い出

今を去る2年前、2008年10月、慶應大学の教養課程在学中に知遇を得て以来お世話になりつづけていたフランス文学者の小潟昭夫・慶大経済学部教授の訃報に接した。2008年10月14日未明、勤務先である慶大の日吉キャンパス研究棟〈来往舎〉内で急逝された。享年6…

注目の新刊 金森修『ゴーレムの生命論』

ゴーレムの生命論 (平凡社新書)作者: 金森修出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/10/16メディア: 新書購入: 1人 クリック: 39回この商品を含むブログ (24件) を見る まもなく発売。

リマ=デ=ファリア『生物への周期律』

生物への周期律ー自然界のリズムと進化作者: アントニオ・リマ=デ=ファリア,松野孝一郎,土明文出版社/メーカー: 工作舎発売日: 2010/03/23メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見る 進化史上にあらわれた生物のさまざまな性質は、元…

ツヴァイク『精神による治療』

ツヴァイク全集〈12〉精神による治療 (1973年)出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1973メディア: ? クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る 精神療法の先駆者といえるメスマー、フロイト、メリー・ベーカー=エディの三人を扱った評伝。主にメスマ…

注目の新刊

象徴形式の形而上学―エルンスト・カッシーラー遺稿集〈第1巻〉 (叢書・ウニベルシタス)作者: エルンストカッシーラー,Ernst Cassirer,笠原賢介,森淑仁出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2010/07/01メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ…

キケロ『法律について』

キケロ(Marcus Tullius Cicero, 106-43 b.c.)による法律論。邦訳は中央公論社から出ていた「世界の名著」(ハードカヴァー版)の第13巻、同・中公バックス版(軽装版)の第14巻、岩波の「キケロー選集」第8巻で読める。 本書は西欧における自然法思想の源…

フランセス・イエイツ『ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統』

工作舎から、またすごい本が邦訳された。ジョルダーノ・ブルーノとヘルメス教の伝統作者: フランセス・イエイツ,前野佳彦出版社/メーカー: 工作舎発売日: 2010/05/18メディア: 単行本 クリック: 33回この商品を含むブログ (10件) を見る 2月には作品社からM…

大森荘蔵『知の構築とその呪縛』

知の構築とその呪縛 (ちくま学芸文庫)作者: 大森荘蔵出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1994/07/01メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 27回この商品を含むブログ (32件) を見る 一級の(自然)哲学でもあり、ある種の科学史の様相をもしめす興味深い論考。日…

中谷宇吉郎『雪』

中谷宇吉郎(1900-1962)の代表作。雪の結晶をめぐる古典的啓蒙書。もともと1938年に岩波新書・赤版として刊行され、ロングセラーとなった。1994年に岩波文庫・緑帯に収録。雪の結晶の研究史から、結晶学の初歩、そして雪の結晶形成についての中谷自信の研究…

鈴木邦男『鈴木邦男の読書術』

鈴木邦男の読書術―言論派「右」翼の原点作者: 鈴木邦男出版社/メーカー: 彩流社発売日: 2010/04/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る 右翼業界きっての読書家、鈴木邦男氏の読書論。この人の方法というのは、とにかく揃いも…

今日買った本

石井洋二郎『科学から空想へ:よみがえるフーリエ』藤原書店、2009年 ダゴニェ『ネオ唯物論』法政大学出版局、2010年 トドロフ『文学が脅かされている』法政大学出版局、2009年 小松美彦・香川知晶編『メタ・バイオエシックスの構築へ』勁草書房、2010年 M.G…

メスメリスムの歴史

18世紀後半から19世紀にかけてヨーロッパで大流行したメスメリスム(le mesmerisme. 動物磁気治療:現代からみれば一種の催眠術)の歴史について調べる。手始めに、ダーントンの名著『パリのメスマー』を再読。パリのメスマー―大革命と動物磁気催眠術作者: …

青山の古本店・日月堂

映画の入場整理券をもらってから上映時刻まで時間があるので、青山(根津美術館近く)の古本店「日月堂」さんに行く。6冊購入。 ・武邑光裕『メディア・エクスタシー』青土社、1992年 →武邑氏は、例のハイパーメディアクリエイター(笑)高城剛氏の先生。 ・…

『ミクロコスモス:初期近代精神史研究』誌

ビブリオテカ・ヘルメティカの平井浩氏が新しい学術雑誌『ミクロコスモス:初期近代精神史研究』を創刊した。第1集 は2月24日に月曜社から発売。これは要注目!ミクロコスモス 初期近代精神史研究 第1集作者: 平井浩出版社/メーカー: 月曜社発売日: 2010/02…

野口整体

必要あって、野口整体のことを調べている。恥ずかしい話だが、野口体操(野口三千三[1914-98]が始める)と野口整体(野口晴哉[1911-76]が創始)の違いすら、少し前まで知らなかった。ひとまず、この本を読む。整体入門 (ちくま文庫)作者: 野口晴哉出版社/メ…

福沢諭吉の万有引力論解説

昨日紹介した、福沢諭吉『窮理図説』(1868年)より、第7章、引力についての解説。 物は物と互(たがい)に相引き互に相近(ちかづ)かんとするの力あり。これを引力という。凡(およ)そ世界中の万物、その大小に拘(かかわ)らず、此(こ)の引力を具(そ…

早稲田大学古典籍総合データベースと『理学初歩』

言わずと知れたGoogle booksや国立国会図書館近代デジタルライブラリー、あるいはフランス国立図書館のガリカなど、著作権の消滅した歴史的文献の画像データ(ときにテキストデータ)を全文公開しているアーカイヴが近年信じがたいような充実ぶりを見せてい…

国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)

国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)/ 今日はじめて知った。なかなか使えそう。

奥泉光『石の来歴』

奥泉光の『石の来歴』(文春文庫、一九九七年)より。語り手の男が太平洋戦争中、レイテ島で上等兵から聞かされた話。 「君は普段路傍の石に気をとめることなどないだろう。庭石や石材ならばまた話は別だろうが、およそ石や岩などは詰らない、ただ意味もなく…