キケロ『法律について』

 キケロ(Marcus Tullius Cicero, 106-43 b.c.)による法律論。邦訳は中央公論社から出ていた「世界の名著」(ハードカヴァー版)の第13巻、同・中公バックス版(軽装版)の第14巻、岩波の「キケロー選集」第8巻で読める。
 本書は西欧における自然法思想の源流のひとつ。キケロによれば、法は自然の理(ことわり;ratio)に基礎をおくべきであり、善の根拠も自然にある。自然の理が人間においては理性(ratio)である。自然の法則(lex)と人間社会の法律(lex)は同一の原理であり、倫理学と自然学は一致するということになる。いわば、法律や倫理における自然主義の表明である。

世界の名著 (14) キケロ エピクテトス マルクス・アウレリウス (中公バックス)

世界の名著 (14) キケロ エピクテトス マルクス・アウレリウス (中公バックス)

キケロー選集〈8〉哲学I―国家について 法律について

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