桜井真樹子さんの「講式」ワークショップ

 16日の日記に書いた桜井真樹子さんのワークショップ(WS)に参加。会場は渋谷のアップリンク。詳細は知らないまま出かけたのだが、これは全2回のWSの2回目だった模様。1回目を聞き逃したことを後悔。
 桜井さんは、声明(しょうみょう)や白拍子(しらびょうし)を現代によみがえらせる独特な活動されているパフォーマーである。
 声明とは仏教の儀式で僧が節をつけてとなえる経文のこと。これは狭義には梵語や漢文を原語のままの発音で唱えるものをさす。これにたいして講式(こうしき)とは、和文の経文(つまり訓読漢文)に節をつけてとなえるもの。声明も講式も声楽といってよい音楽的な旋律をもつ。
 今回のWSのテーマは講式であった。漢文の素養のある知識階級を対象とするものであった声明にたいして、より広い階層のひとびとがアクセス可能な和文をもちいた講式の誕生(986年の源信による)、意義、そして、その変遷(たとえば盆踊りの歌謡のルーツのひとつは講式だという)を、映像・音声をふくむふんだんな資料とともに紹介され、非常に勉強になった。やはりこの種のものは、文字情報だけでは理解がむつかしい。さらに後半は、桜井さんの指導のもと、参加者全員で講式を実際に唱えてみることに。これも貴重な体験であった。それにしてもわが身の肺活量の乏しさに愕然となる。桜井さんが一息でとなえるところにを、私は3,4回のブレスを挟まないと息が続かない。これは私がかつて喘息を経験し、もともと肺や気管が弱いことも関係があるのだろうが、現代人と源信の頃(つまり10世紀頃)の人間の身体能力の違いということにもよるのかもしれない(桜井さんはずっとトレーニングを積んで来たプロだから、往時の声明師や講式をとなえていた僧侶たちの身体にも近い能力をもっているのだろう)。こういうことも少しでも実際に経験してみないと考えるきっかけがつかめない。たいへんに貴重な機会であった。

 ○桜井真樹子ホームページ
  http://zipangu.com/sakurai/


 いま検索したら、ブログも書かれているようだ。

 ○桜井真樹子の白拍子的生活
  http://shirabyoshi.cocolog-nifty.com/blog/
 
 それから、早稲田大学の二ールス・グュルベルク(Niels GUELBERG)さんという研究者が講式のデータベースを作成しているのを発見。彼はドイツ出身の日本学者のとこと。すごい方がいるものだ。

 ○講式データベース
  http://www.f.waseda.jp/guelberg/koshiki/datenb-j.htm