Ian Hacking２冊

15日に研究会があるので予習。テキストはイアン・ハッキングの著作２冊。
1) Ian Hacking, The social construction of what?, Mass., Harvard U.P., 1999.
2) ----, Mad travelers: Reflections on the reality of transient mental illnesses, Charlottesville, Va., U.P. of Virginia, 1998.

1)は社会構築主義と生物学的本質主義という近来の人文社会科学で（なかばうんざりするような）対立軸として利用されている概念を検討している。人文科学と自然科学の違いを、前者は扱っている概念とその概念にかかわる人間とが相互作用するものを扱う学として（たとえば狂気という概念とこの概念のもとに分類される人間、分類する人間の間の相互作用）、後者は人間から概念への一方通行の作用しかないものを扱う学として（たとえば人間がいかように分類しようとも原子の振る舞いはかわらない）定義する。
2)は一種のトポグラフィカルな精神医学史ないしはその認識論と呼びうる著作で、或る時代・地域・階層・ジェンダーなどに特異的に発生する精神疾患を生態学のニッチ概念を用いて記述し、比較研究が可能であるという仮説を提案するもの。

The Social Construction of What?

Mad Travelers: Reflections on the Reality of Transient Mental Illnesses