新刊情報 バルト『ラシーヌ論』

ラシーヌ論

ラシーヌ論

バルトの『ラシーヌ論』がようやく邦訳刊行された。本書はバルトがいわゆるテーマ批評(バシュラールの「物質の詩学」の流れを汲む批評手法)の方法でラシーヌを論じた小著ながら重要な著作。もともと、ラシーヌの専門家の渡辺氏が訳する予定で、ずいぶん前から邦訳計画が進んでいたときいているが、いままでなぜ刊行されなかったのか不可解だ。また、訳書現物を手にとっていないので、詳しい造本仕様はわからないが、わずか377ページのこの本(原書はポワンのポケット版だと、ごくごく薄い書物だ)に、5670円という定価は、いくらなんでも高すぎる。