ペドロ・コスタ『ヴァンダの部屋』
昼、所用で慶応大学三田キャンパスへ。
夜、DVDでペドロ・コスタの『ヴァンダの部屋』を観る。傑作である。スラム街で撮影された、なかばドキュメンタリー、なかば劇映画のような作品。ストーリーはスラムの住人たちがひたすらヤクを打っているという一文で全てを語ることができる。これは物語を楽しむ映画ではない。ただただ映像に魅了されればよい。ひとつひとつのショットが奇跡的だ。影(陰)で画面がトリミングされ、すべてのショットがフィックス。驚嘆するほかない。赤と緑の色へのオプセッションは少々うるさい気もするが、独特の色彩設計は余人の追随を許さないものである。「開いた扉」や「角(かど)」というテーマへの執着もみられる。『骨』、本作とともにゆるやかな三部作をなす『コロッサル・ユース』も観たいところだ。
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