中公の『哲学の歴史』刊行開始

哲学の歴史〈第11巻〉論理・数学・言語 20世紀2

哲学の歴史〈第11巻〉論理・数学・言語 20世紀2

 中央公論新社から大型分冊の哲学史の刊行が始まった。『哲学の歴史』という叢書で、第1回配本の第11巻は20世紀の科学哲学を扱う。編者は飯田隆氏。これ以上の適任者はないだろう。この巻では英米の科学哲学、つまり分析哲学言語哲学とも呼ばれる研究伝統のみならず、フランス語圏の科学認識論、つまり〈エピステモロジー (epistemologie)〉と呼ばれる学派が紹介されている点に特色がある(エピステモロジーの章の執筆者は、わが国におけるこの方面の代表的研究者・金森修氏)。すでに初刷り5000部がはけ、まもなく2刷が出るという。この種の企画としては異例の大成功といってよい。実際、その売れ行きにも納得させられる充実した内容・執筆陣である。続巻には、中川純男氏の編集による中世の巻などが予定されている。当該分野を専攻する人はぜひ全巻講読すべきであろう。