六本木・東京ミッドタウン

 ところで、上記イベントの会場となった 21_21 DESIGN SIGHT のあるミッドタウンという空間だが、どうも感心しない。安藤忠雄イサム・ノグチ三宅一生による構想から20年を経てできた施設だという来歴があるらしいが、そんなことはどうでもよい。モダニスム+和風テイストのあざとさが鼻に付くだけの寒々しい空間だ。美術館やレストランなど、この空間を構成する諸施設の配置も適切とはいいがたく、館内案内板を何度見ても位置関係が把握できない。今日はたまたま雨だったが、この建物の中央にある広場は、なかば屋根がありなかば屋根がないといった具合で、その屋根が途切れる場所もはっきりと境界づけられていないため、傘をさしたりたたんだりするタイミングがつかみづらいのだ。まったくもって、こんな建築はいらない(私は基本的にルイス・マンフォードのような建築の哲学が真っ当だと思う)。また、同行した2人の友人と昼食をとろうとしたが、落ち着いて軽い食事のとれそうなお店がほとんど見当たらず、消極的に入った或るお店も値段相応とは思えないメニューばかりでうんざりし(値段は食事とサーヴィスの代価というより、大部分がショバ代だ)、私は食事は頼まず、まだ日が高いことも気にせずに(友人たちの冷たい視線を浴びつつ)ワインをあおり、やさぐれていた。こういう施設に――われわれはフォーサイスインスタレーションを見るために仕方なく行ったわけだが――それが新しくできたからという理由だけで別段これを見ようといった目的もなしに、わざわざ見物に来たとおぼしき人々が、どう考えても満足できるとはおもえないレストランに列を成して順番待ちをしているのをみると暗澹たる思いがする。
 空虚な場所をあとに、友人2人と六本木交差点まで戻って、アマンドでお茶。やはりここが落ち着く。ヒルズが出来て以降の六本木は最悪だ。外山恒一氏(3月27日参照)ではないが、スクラップ&スクラップしなければならない。ガラス張りで落ち着かないカフェやビストロよりも、やはりアマンド中国飯店だ。