闘牛論

 明日の研究会のため、少々予習を。闘牛に関する本を再読する。

闘牛鑑

闘牛鑑

 原書は Michel Leiris, Miroir de la tauromachie, Paris, GLM, 1938.
 闘牛とは獣の死、そしてつねに死の危険にさらされる闘牛士という二つの死によっていろどられている。レリスはこれを「二重に悲劇的な性格」と呼ぶ。闘牛というものが他の生贄の儀式やディオニュソス的なカーニバルと一種異質な性格を持つのは、ひとつにはこの二重性ゆえのことであろう。
 なおレリスはこの『闘牛鑑』のほかにもいくつかの闘牛論を書いている。この訳書に併載されているのは『闘牛技』(Tauromachies, Paris, GLM, 1937)。さらにレリスがナレーションを執筆した映画というのがあって、ブローンベルジェ『闘牛』Pierre Braunberger, La course de taureaux (France, 1951) という作品である。
http://us.imdb.com/title/tt0243194/
フランス版(PAL方式、Region2)ながらDVDも出ている(残念ながら私は見ていない)。
http://www.amazon.fr/Course-taureaux-Pierre-Braunsberger/dp/B0007T3BUA/ref=sr_1_2/171-8656661-1433802?ie=UTF8&s=dvd&qid=1174230715&sr=8-2
ブローンベルジェというのはどうも映画監督というよりプロデューサーらしい。そしてこの映画のナレーション部分は本として刊行されている。
Michel Leiris, La course de taureaux, Paris, Fourbis, 1991. リプリント版、Farrago, 2006.
牡牛崇拝の信仰とか闘牛の起源にかかわる記述、闘牛の美学であるブラブーラ bravura(スペイン語で「勇猛果敢さ」)についての記述がある。そして、貧しい少年が飛び入りで闘牛場に入って牛と闘い、勝利すれば闘牛士になれる、云々。

図版は Andre Massonn, Corrida, 1936. マッソンの図版は(これとは別のものだが)上記『闘牛鑑』訳書にも収録されている。