こうの史代『夕凪の街 桜の国』、あるいは10年目の被爆
こうのさんの本、今日読んだ2冊目はこの本。
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/10/12
- メディア: コミック
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わが畏友にNM氏という人がいて、「核のイメージ」の研究を一貫しておこなっている*3。彼女にこの作品のことを訊いてみたい気がする。
さきに言及したフロドンの言葉は以下の文献を参照。いま手許にある本が発見できないので、上の引用はかならずしも正確でない。
- 作者: ジャン=ミシェルフロドン,Jean‐Michel Frodon,野崎歓
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2002/10/18
- メディア: 単行本
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*1:「経験する」という出来事を仏語では「生きる」vivre という動詞を他動詞として用いて、「**を生きる」という形で表すことがある。この動詞の受動を表す過去分詞 vecu に冠詞をつけて le vecu とすれば、「生きられたこと」の意味から「経験」となる。ところで被爆やホロコーストのような出来事は生者によっては経験されえない。「生きられる」ことはないのだ。むろん「死ぬ mourir」という動詞に他動詞「**を死ぬ」という用法があろうはずもない。原爆やホロコーストの表象不可能性というのはこのような議論だと一応私は理解している。
*2:本書は初版2004年10月からわずか2箇月で3刷が出ている。またamazon.co.jpのレヴュー数は、2007/01/17現在で177件に達している。
*3:このブログでも昨年11月に言及した