ダンテ連続講演 演目詳細

神曲La Divina Commedia』をテーマにした103点のドローイングと3点のブロンズレリーフが展示される「チェッコ・ボナノッテが描いたダンテ『神曲』展」(会期:11月10日〜12月13日)に合わせ、ダンテ協会の協力を得て、イタリア語の父でもある詩聖ダンテの『神曲』に関する連続講演会を開催いたします。

 ダンテ・アリギエーリDante Alighieri(1265年フィレンツェ生−1321年ラヴェンナ没)は、当時の俗語詩の潮流であった「清新体派」を代表する詩人でした。ダンテの著作は、ラテン語とイタリア語によって書かれ、『新生』『俗語詩論』『饗宴』『帝政論』などがあります。なかでも『神曲』は世界文学の代表作と目される作品であり、書き言葉としてのイタリア語の誕生にも重要な貢献をしました。

 連続三回の講演会でダンテの研究者である先生がたに、「地獄篇Inferno」「煉獄篇Purgatorio」「天国篇Paradiso」各篇のひとつの歌をとりあげて講演していただきます。第二回と第三回については、イタリアの名優・ヴィットリオ・ガスマンによる朗読のDVD映像で、講演でとりあげた歌を上映いたします。


11 月29 日(水)18:30 藤谷 道夫氏(帝京大学助教授)
「煉獄篇十五歌 嫉妬の克服:自然に隠された神のメッセージ」


12 月8 日(金)18:30 西本 晃二氏(早稲田大学国際言語文化研究所客員研究員・東京大学名誉教授)
「ダンテとその時代」


12 月11 日(月)18:30 浦 一章氏(東京大学大学院助教授)
「地獄篇第十歌 彫像的ファリナータ」


12 月12 日(火)18:30 平川 祐弘氏(大手前大学大学院教授・東京大学名誉教授)
「天国篇第三歌 恣意的な詩人ダンテの『神曲』は今後も世界文学の最高傑作であり得るか」


12 月19 日(火)18:30 小佐野 重利氏(東京大学大学院教授)
「言葉とイメージ ダンテの地獄と源信の地獄をめぐる比較美術史の試み」



[講師プロフィール]

藤谷 道夫
西洋古典文学専攻。当時の科学・神学的知識に基づいて『神曲』の解読をおこなう。
訳書にマリーナ・マリエッティ『ダンテ』(白水社)、プラウトゥス「旅行かばん」(共訳プラウトゥス『ローマ喜劇集. 4』(京都大学学術出版会)など。著書にイタリア語学習書多数。

西本 晃ニ
東京大学文学部教授、在ローマ日本文化会館長等を歴任して現在早稲田大学国際言語文化研究所客員研究員・東京大学名誉教授。イタリア文学・フランス文学専攻。思想から音楽にわたる幅広い視点から文学を論じている。著書に『新講現代のイタリヤ語』(三省堂)などのイタリア語学習書のほかに、『イタリア文学史』(共著・東京大学出版会)『イタリヤところどころ―光の国の美術・歴史散歩』(実業之日本社)『落語「死神」の世界』(青蛙房)など。訳書に『ヴィーコ自叙伝』『マラヴォリヤ家の人々』(共にみすず書房)『メジチ家の世紀』(白水社)ほか多数。近著に『モーツァルトはオペラ―歌芝居としての魅力をさぐる』(音楽之友社)がある。

浦 一章
   13世紀イタリア文学専攻。シチリア派などダンテ以前の詩人たちや南仏トゥルバドゥールの詩にも造詣が深い。著書に『ダンテ研究I』(東信堂)、「ダンテとイタリア文学の創造」(共著『ネイションを超えて』所収(岩波書店))、訳書にマリオ・プラーツ『蛇との契約 ロマン主義の感性と美意識』(ありな書房)など。

平川 祐弘
比較文学比較文化専攻。比較研究の立場から一日本人としてダンテを読み『神曲』(河出書房新社)の翻訳、研究書に『中世の四季 ダンテとその周辺』、『ダンテの地獄を読む』(以上河出書房新社)、『和魂洋才の系譜』(平凡社)、『ラフカディオ・ハーン』(ミネルヴァ書房)、『マッテオ・リッチ伝』全三巻(平凡社)ほか多数。訳書にヴァザーリルネサンス画人伝』(白水社)、マンゾーニ『いいなづけ』(河出書房新社)など。近著の『天ハ自ラ助クル者ヲ助ク』(名古屋大学出版会)では『クオレ』も扱う。

小佐野 重利
東京大学大学院教授。美術史専攻。著書に『記憶の中の古代―ルネサンス美術にみられる古代の受容―』(中央公論美術出版)、『ラファエッロと古代ローマ建築』(編共著 中央公論美術出版)、『カザナテンセ図書館蔵本ファクシミリ版 植物誌Ms.459 解説』(日本語版共同監修・解説 岩波書店); 訳書に、エドイン・ホール『アルノルフィーニの婚約』(共訳、中央公論美術出版)、サルヴァトーレ・セッティス『絵画の発明 ― ジョルジョーネ「嵐」解読 ―』(監訳 晶文社)、チェーザレ・ブランディ『修復の理論』(監訳、三元社2005年)など多数。




インフォメーション

日程: 2006年11月29日 - 2006年12月12日

時間: 18:30

場所: イタリア文化会館 東京 アニェッリ・ホール

主催: 森永エンゼル財団 イタリア文化会館 日本経済新聞社

入場無料

http://www.iictokyo.esteri.it/IIC_Tokyo/webform/SchedaEvento.aspx?id=101&citta=Tokyo