復刊情報 川喜田愛郎『近代医学の史的基盤』

近代医学の史的基盤 上

近代医学の史的基盤 上

近代医学の史的基盤 下

近代医学の史的基盤 下

 医学史研究に絶対必読必備の基礎文献ながら長らく品切れで古本価格も高騰していた川喜田愛郎『近代医学の史的基盤』(上下、岩波書店、1977年)がようやく復刊された。快挙である。1970年代後半時点での医学史研究の成果を網羅的に述べた本で、その後、ニューヒストリシズム系の(つまりフーコー以降の)医学史研究の台頭によって、この本がカヴァーしていない重要なトピックが多数提出されてはいるが、それでもこの本の重要性はいまだに揺らがない。古本で高値がついていたゆえんである。私の手許にある本は数年前に古本で買ったものだが、そのときの販売価格はほぼ定価であった。今回の復刊では上7560円、下8610円なので、初版の定価とほぼ変わらない。内容からすれば激安といってよいだろう。とにかく、この重版分もまもなく品切になること必定なので、医学史に多少とも関心を持つ人は、すぐに読めないとしても、とりあえず買っておくべきである。