冨永昌敬『パビリオン山椒魚』@渋谷シネ・セゾン

clair-de-lune2006-10-18

 自称“21世紀の天才レントゲン技師”こと飛鳥芳一はある日、第二農響会長・香川から奇妙な依頼を受ける。それは、かつてパリ万博に出品された伝説の動物国宝であるオオサンショウウオの“キンジロー”が本物かどうかレントゲンで調べてほしいというものだった。キンジローは二宮家が代々運営する“キンジロー財団”によって大切に管理されていた。依頼を引き受けた芳一だったが、そんな彼の前に、二宮家の美人四姉妹の四女あづきが現れる。(allcinemaより。http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=325194

公式サイト http://www.pavillion.jp/
香椎由宇オダギリジョーオオサンショウウオ、レントゲン車、謎の財団。これだけの素材をつかって、こんな駄作をつくるのは映画的犯罪ではないか。否、素材が多すぎるのが、そもそもまずいのだ。おそらくキャラが立つ要素があまりに多すぎて、焦点化ができない。役者は「個性的でない」人がほとんどいない。オダギリ、香椎を始め、脇役にも麻生祐未、KIKI、高田純次など、あまりに「濃すぎる」。濃い俳優たちに、物語上の必要に応じて、濃淡をつけることは、撮り方次第でいくらでもできるが、この映画では成功していない。奇怪なオオサンショウウオだけ、あるいはレントゲン(レントゲン車、技師)だけでも一本の映画を撮れるぐらい魅力的な形象・オブジェだが、この作品では両要素がコンフリクトしている。とにかく、もっと抑制し、起伏をつけた映画を撮らなければならない。

画像は『パビリオン山椒魚』の宣伝用写真から。引用元は次のサイト。http://www.walkerplus.com/tokyo/tv/latestmovie/mo4554.html