今年3月、
岩波新書新赤版が1000番を超えたのを記念に刊行された本。日本近代思想史を専攻する著者による、一人称を躊躇なく前面に出した
岩波新書創刊(1938年)から現代までの通史である。巻末に初代赤版以来の
岩波新書全点目録、および、赤・青・黄・新赤と装丁をかえるごとに改められた「
岩波新書刊行の辞」の全てのヴァージョンを収録。本文は岩波的
教養主義の象徴ともいえる
岩波新書という切り口で見た日本近代の文化史・社会史として、また読み物としても面白い(鹿野氏は別の著書をみても、このような通史・総覧のスタイルを得意とするようだ)。目録部分を順に見て行くと、さすが2500点を超えているだけあって、未読の本はもちろん、存在自体をはじめて知る本がかなりあることに気づく。