鹿野政直『岩波新書の歴史』

岩波新書の歴史―付・総目録1938?2006 (岩波新書)

岩波新書の歴史―付・総目録1938?2006 (岩波新書)

今年3月、岩波新書新赤版が1000番を超えたのを記念に刊行された本。日本近代思想史を専攻する著者による、一人称を躊躇なく前面に出した岩波新書創刊(1938年)から現代までの通史である。巻末に初代赤版以来の岩波新書全点目録、および、赤・青・黄・新赤と装丁をかえるごとに改められた「岩波新書刊行の辞」の全てのヴァージョンを収録。本文は岩波的教養主義の象徴ともいえる岩波新書という切り口で見た日本近代の文化史・社会史として、また読み物としても面白い(鹿野氏は別の著書をみても、このような通史・総覧のスタイルを得意とするようだ)。目録部分を順に見て行くと、さすが2500点を超えているだけあって、未読の本はもちろん、存在自体をはじめて知る本がかなりあることに気づく。