見沢知廉原作「天皇ごっこ」

 見沢知廉原作の舞台「天皇ごっこ」を見る。劇団再生による公演で、演出・脚本は高木尋士。会場は中目黒のWoody Theatre。
 見沢は新右翼の若き活動家として政治活動を展開し、やがてスパイ粛清事件をおこし殺人罪で投獄、12年の懲役を経て出獄後、獄中で密かに書き溜めた原稿をもとに『天皇ごっこ』『囚人狂時代』などの小説を発表し作家となるも、2003年、突然の投身自殺を遂げた男である。この舞台は獄中の見沢と出所後の見沢が対話し、そこに見沢の母や獄吏たち、医療刑務所精神科医などが登場する芝居であり、獄中の見沢と彼の母がやりとりした手紙が多く朗読される。見沢、獄吏、医療刑務所精神科医その他、ほぼ全ての役をロリータ風の衣裳を身に着けた若い女性が演じるのが特徴的。私は見沢の生き方や政治活動に共感を寄せる者ではないが、しかし、彼があの極端な生涯を通じて、何か聖なるものに肉薄しえていたのではないかということを、この舞台は感じさせるものであった。
 なお今日は見沢の三回忌にあたる日である。会場には見沢の御母堂の姿もみえた。例によって鈴木邦男氏にもお目にかかった。

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