[雑録]電車遅延とアルベルトゥス・マグヌス

 昼からK大学に。電車が人身事故による70分の大遅延。利用者は(すくなくとも私は)一定の時間内に着くことを前提に運賃を払っているのに、10分や20分ならともかく、これほど遅れても、料金の一部返還すら決してしない鉄道会社にはいつもながら怒りを覚える(われわれが不注意で切符をなくすと彼らは容赦なく料金を再徴収するのに、かれらは自分たちの不手際の責任は決してとろうとしない)。振替輸送にしても振替先の鉄道会社ともうまく連携がとれておらず、乗り換えに手間どることも日常的。車内放送で振替先などの重要な案内が流れているが、音が不明瞭で正確に聞き取れない。

 K大学では畏友T氏によるアルベルトゥス・マグヌスについての発表を聴く。アルベルトゥスは大トマスの師で13世紀の神学者・自然学者。鉱物論から形而上学まで広汎に及ぶ著作がある。T氏によれば、この時代の思想は、科学史とか哲学史といった個別の文脈で論じる(たとえば地学史におけるアルベルトゥスの鉱物論、というような)のでは不十分で、全体を一掴みに論じなければならないという。未公刊の研究なので、内容はここに書かないが、T氏はカンギレムやデュエムなどフランス・エピステモロジーの成果を縦横に利用して見事な研究に仕上げている。こういう仕事に学ばなければならない。
 港区某所のワイン店にて、友人の誕生日プレゼントのワインを買う。