タイのクーデターと戒厳令

タイでクーデターが発生し、国内が戒厳状態にあるらしい。笑える記事をみつけたので紹介。
「タイクーデターで渡航キャンセル相次ぐ」日刊スポーツ.com 2006年9月20日14時25分の記事より
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20060920-92819.html

全日空では、同日午前発の便で200人の予約のうち約80人がキャンセル。(…)友人とタイ旅行に行く前橋市の会社員女性(26)は「休みを取ってしまったので取りあえず行ってみる。観光できるか心配」と不安な様子。

心配のしどころが違う気がする・・・(新聞の取材にこんな阿呆なことを答える会社員が本当にいるのか?)。戒厳令下で命をかけてまで観光したいのだろうか。約80人がキャンセルしたことより、約120人が旅行を決行したことのほうを報道すべきだろう(笑)。まあ、私は飛行機が(落ちたり乗っ取られたりするのが)恐いので海外渡航経験皆無、仕事で名古屋に行ったのが最大の遠出(ちなみに関東在住)という根性なしだが。

ところで、社会に生きる人間は法によって身分や属性が与えられる。戒厳令とは法律が停止し、軍部や独裁的指導者が全権を掌握した状態である。ということは、法律が停止した戒厳令下では、人間は社会的なアイデンティティの多くを奪われ「剥き出しの生」を生きることになる。こう述べるのは、イタリアの思想家ジョルジョ・アガンベンである。彼は主著「ホモ・サケル」シリーズで、一貫して「剥き出しの生」を論じてきた。その3巻目『例外状態』では、まさに戒厳令下の人間の生が問題になっている。ここに示すのは英訳版。仏訳もある。邦訳もいずれ出るだろう。

State Of Exception

State Of Exception

戒厳令といえば、吉田喜重の作品を思い出す。若き三國連太郎の演じる北一輝がこわすぎ。某つりバカ映画でしか知らない人には想像がつかないだろうが、若い頃の三國氏はものすごく恰幅がよくて迫力がある。スターリンの役を演じたらぴったりだろう。

戒厳令 [DVD]

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それにしても、命がけでタイ旅行に行くようなお金があったら、これが欲しい。これが。

関係ないけど、これも欲しい。これも。
女のみづうみ [DVD]

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吉田喜重監督。