生物学史分科会 ハンス・ドリーシュ論

 久々に生物学史分科会の月例会に参加。書肆K舎のI氏にもご一緒いただいた。

日時:2008年2月2日(土) 午後3:00〜5:00
場所:東京大学駒場キャンパス14号館3階308号室
発表者:米本昌平氏(東京大学先端科学技術研究センター)
発表タイトル:ハンス・ドリーシュの再定位
概要:20世紀初頭に新生気論を提唱し、生命論で大きな議論を巻き起こしたハンス・ドリーシュは、主として論理実証主義派の科学哲学から非科学の典型とされ、これが第二次世界大戦後、広く受け入れられてきた。しかし、100年後の現在、生命科学が古典的な分子生物学的生命観から大きく変貌しようとしている。その中でドリーシュが終生主張し続けたエンテレキーを『情報性を供給する自然因子』と解釈することで、どのような歴史的・思想的・科学哲学的展開の可能性があるか、展望を試みる。
テキスト:ハンス・ドリーシュ著・米本昌平訳『生気論の歴史と理論』(書籍工房早山/2007年)

生気論の歴史と理論

生気論の歴史と理論

 生物学史の月例会は通常10名前後の出席者があるが、今回は30名を軽く越えていた(科学論関係の名だたる先生方が多数出席)。米本先生がこのような場で話されることは数十年ぶりとのこと。ドリーシュについての議論も大変に刺激的だったが、若き日にドリーシュと決定的な出会いをとげた米本先生の学問的来歴や、今から40年ほど前の先生が在学された当時の京都大学理学部の雰囲気など、大変興味深いお話をうかがうことができた。このあたりは『独学の時代』に詳細が語られている模様。

独学の時代―新しい知の地平を求めて

独学の時代―新しい知の地平を求めて

 閉会後、駒場キャンパス内の Lever son verre にて懇親会。さらに下北沢に移動し、最近できたばかりというジャズ・バーJunc de cote coteで午前2時頃まで。なかなかよいお店。その後、数名で新宿ゴールデン街の某文壇酒場に。店を出たのは日曜の朝6時。雪が降っていた。