医学史研究会
三田の慶応大学で医学史研究会に出席。発表者は医療人類学の浮ヶ谷幸代先生。北海道浦河町の精神医療施設「べてるの家」の調査報告。この施設は、精神疾患の「治癒」をめざしたり、精神病患者への差別に反対するといった方針をとらず、症状が改善しなくても気にせず病気を飼いならして生きていく(病気を敵視しない)、地域社会からの差別はあってあたりまえ(差別をする人も敵視しない)、という姿勢をとっている。さらに、患者自身も施設の運営にかかわっていたり、地域社会の住人とビジネス(浦川特産の昆布の販売や介護用品の販売など)を通じて交流をもっており、住人たちも、町に「べてるの家」があることを歓迎してこそいないが、少なくとも激しく排斥するということはないようである。浮ヶ谷先生は、この特異な施設に長期間にわたって参与観察された数少ない研究者である。豊富な資料にもとづく充実したご発表で、非常に参考になった。
○医学史研究会(慶応大学)
http://web.hc.keio.ac.jp/~asuzuki/BDMH/HistMedSeminarGroupTop.htm
○べてるの家に関する参考文献
べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章 (シリーズ ケアをひらく)
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